ITSプラン
- 英語
- Intermarket Trading System Plan
NMSプランによって集約された全米市場の気配情報及び約定情報に基づき、実際に最良気配を表示する市場で注文が執行されるために、取引所間で注文を中央集約的なリンケージ形式で集約し、最良気配の取引所に回送する仕組みのことで、1978年の導入以降、当時店頭市場であったNASDAQへの対応(ITS/CAESLinkage)等の改善が図られ、完全に自動化された市場間注文回送システムになっている。
ITSプランでは「他の取引市場により良い価格で約定できる機会があれば、それよりも劣った値段で執行してはならない」という、トレードスルー規制(「極力回避すべき(should avoid)」という努力規定)が導入され、またその実効性を高めるものとして「市場間で同一価格の最良売り気配と最良買い気配が同時に存在してはならない」というロックト・マーケットの禁止、「市場間で最良買い気配が最良売り気配よりも高くなってははならない」というクロストマーケット(Crossed Market)の禁止も盛り込まれている。
証券市場のテクノロジーが進展する中で、ITSプランのトレードスルーの禁止では、マーケットメイカー等から手動で出される気配を無視できないため、時間のかかる手動気配を待っている間に、本来即座に執行できたはずの自動気配が消えてしまったり、待たされた結果として出てきた手動気配が自動気配に劣るものであった等、投資家保護のための制度が逆に取引執行の非効率性を招いていた。
2005年のレギュレーションNMSによって、迅速かつ効率的な市場間の注文回送の仕組みを実現するために取引市場同士が個々に繋がるプライベート・リンケージ形式が採用されたことに伴い廃止された。