投資用語集

多重株主代表訴訟

英語
multiplex shareholder lawsuit
関連語
株主代表訴訟
カテゴリ
株主権 ,

親会社株主が、子会社または孫会社に代わって、子会社または孫会社の損害賠償請求権を行使し、子会社または孫会社の取締役の責任を追及する訴訟のことで、株主代表訴訟の対象を子会社の取締役にも広げようというもの。

会社法においては第851条で、既に株主代表訴訟が係属している時に当該株式会社が株式交換又は株式移転、合併等により会社株主となった場合に係属している株主代表訴訟の追行を引き続き認めるというという規定はあるが、多重株主代表訴訟を直接認める規定はなく、子会社取締役が子会社に損害を与えたときに、親会社は株主として子会社取締役を株主代表訴訟等で責任追及すべきであり、それを行わないのは親会社の怠慢であるとして、親会社株主は、怠慢な親会社取締役を株主代表訴訟で提訴できるという二重代表訴訟の考え方や子会社の損害は子会社取締役が賠償し、親会社の損害は子会社取締役の子会社への損害賠償によって間接的にてん補すべきものという学説もあり、親会社株主が子会社取締役の責任追及を行うことは極めて難しい。

そのため、多重株主代表訴訟の法制化を求める声もあるが、現実のグループ企業における資本関係は複雑である場合も多く、多重株主代表訴訟を認める範囲によっては親会社株主と子会社の少数株主との利益衝突の危険もあること、親子会社の損益関係は複雑であり、子会社の損失により親会社が利益を受けることも想定でき、このような場合にも親会社株主からの多重株主代表訴訟を提起することになると、子会社取締役は極めて不安定な地位に立たされることといった問題もあり、企業側は導入に反対している。

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