逆さ合併
- 英語
- reverse merger
事業規模が明らかに小さい会社を存続会社とする合併手法のこと。
合併差損の回避や、繰越欠損金の控除、法人格上の消滅会社が非上場会社で、法人格上の存続会社が上場企業である場合に存続会社の上場維持によって上場企業に昇格ができるといった利点が挙げられる。
繰越欠損金の控除については、繰越欠損金を持つ会社を存続会社とすることで、繰越欠損金を損金として消滅会社の益金から控除できたが、現在では組織再編成税制の整備により、適格組織再編成の場合のみに制限されている。また、上場維持については、証券取引所が「企業の実質的存続性がない」と判断すれば裏口上場とみなされ上場廃止とされる事例もある。
商号(社名)については、知名度やブランド力の観点から事業規模の大きい企業の名称を用いることが多く、その他の人事等の実態的な企業としても一般的には事業規模がそのまま反映されることが多い。
逆さ合併の主な例
- 第二地方銀行「わかしお銀行」による都市銀行「三井住友銀行」の吸収合併(2003年)
約2兆円の合併差益で、約1兆円の有価証券等含み損を解消し、バランスシートを改善するため。三井住友銀行に商号変更
- 新光証券による旧みずほ証券の吸収合併(2009年)
旧みずほ証券の企業規模の方が大きかったが、上場維持目的のため。みずほ証券に商号変更
- みずほコーポレート銀行による旧みずほ銀行の吸収合併(2013年)
旧みずほ銀行の企業規模の方が大きかったが、上場維持目的のため。みずほ銀行に商号変更
- 大阪証券取引所による東京証券取引所の吸収合併(2013年)
東京証券取引所の企業規模の方が大きかったが、上場維持目的のため。日本取引所グループに商号変更
- 三洋電機による東京三洋電機の吸収合併(1986年)
業容は東京三洋電機の方が大きかったが、三洋電機が本家であるため。