私的整理ガイドライン
- 英語
- guidelines for out-of-court workouts
- 関連語
- 私的整理
2001年の緊急経済対策を受け経済団体連合会や全国銀行協会などを委員とする私的整理に関するガイドライン研究会が2003年に提示したガイドラインのことで、自由度がある一方、経営の透明性確保や経営者のモラル・ハザード、事業の再建計画の信頼性や公平性、また、財産保全手段や整理案に反対する債権者を拘束する手段がないこと等の問題が指摘されていた私的整理に、法的拘束力は無いものの公平性と透明性を確保するための規定を盛り込んでいる。
私的整理ガイドラインの適用対象は、過剰債務を主因として経営困難になっているが、企業に事業価値があり、債権者の支援で再建が可能であり、法的整理では事業価値が毀損され事業再建に支障が生じ、私的整理の方が債権者にとっても経済的合理性が期待できる企業(ガイドライン3項)であり、私的整理ガイドラインに基づく債務放棄は税務当局から合理的に債権放棄がなされたと推定され、税務上損金算入が認められ、債権者は債権の無税償却ができること、債権放棄を受ける時は、従来の経営者は退任し、再建計画手続において減増資が行われる結果、従来の株主は地位を失うか所有株式の価値を減ずるなど経営者と株主は責任を負うこと、再建計画成立後翌期より3年以内を目処とした実質債務超過の解消と経常黒字転換が求められているため、かなり踏み込んで債務免除や資本増強策がとられ法的再生と同水準かそれ以上の再生が図られること、提出された再生計画案が債権者集会で認可されない時は、任意整理終了の宣言がなされ、債務者は法的倒産手続を申立てる可能性があることなどの特徴がある。
私的整理ガイドラインの手続は、主要債権者が主導で行う企業再建の手続であり、客観的な第三者の関与を受けることなく事業再建よりも自己の金融支援負担額の削減に関心のある主要債権者以外の債権者から再建計画に同意を得なくてはいけないため、主要債権者の資金面・非資金面での負担が相当重たいものとなる等適用のためのハードルは高く、利害関係を有する当事者同士での調整のための資金面・非資金面での負担が可能なメガバンクがメインバンクであり、資金面・非資金面の両面での負担をしてでも事業再建をするに値する規模の大きい会社に対して専ら用いられている。