アジア地域ファンド・パスポート
- 英語
- Asia Region Funds Passport
- 同意語
- ARFP
- 関連語
- ファンドパスポート制度 , UCITS , 集団投資スキーム
参加国が、投資者保護上の要件を満たしたファンド(投資信託等)について、相互に販売を容易にするため、規制の共通化をはかるためのアジア地域におけるファンドパスポート制度のことで、参加国相互におけるクロスボーダーでのファンド販売を促進することで、アジア地域の資本市場の深化を狙ったものであり、日本、オーストラリア、韓国、ニュージーランド、フィリピン、タイの6か国により2016年6月に発効した。今後18ヵ月以内(2017年12月末まで)に参加各国で国内における所要の制度整備を図ることが求められ、2つ以上の参加国が当該制度を導入後、整備完了国間でARFPが開始される。
運用制限規定、独立監視機関(主に運用制限規定が監視対象)、年次実施状況評価(適格要件を含むARFP規則全般が監視対象)等ARFP共通の規制もあるが、ファンドの組成や運用、運用会社の登録・監督等に係る規制については、ファンドのパスポート取得に係る承認・登録を行う国(母国)の法規制が適用され、ファンド販売及び情報開示に係る規制(情報開示に係る言語も含む)については、パスポート・ファンド(他の参加国においてパスポートを取得したファンド)の国内販売を承認する国(ホスト国)の法規制が適用される。
ARFPはEUファンドパスポート制度(UCITS)を範としているが、ARFPでは、UCITSとは異なり、パスポートを取得するファンドおよび運用会社は、ビジネスの主拠点が母国であることが求められ、かつ母国において公募されていることが求められている。これは、母国において公募されることから、母国当局による監督の実効性が確保される他、仮に不正行為が行われ投資家に被害が発生した際に、母国においても被害が発生するため、海外投資家および海外当局にとっては円滑かつ効果的な法執行が期待できるためとされている。
ARFPが実施されれば、海外で組成されたファンドの日本における販売が増加する可能性があり、投資家にとっては投資の選択肢が広がり、日本のファンド市場における競争環境にも変化が生じるとともに、日本で組成されたファンドの海外における販売も増加することが考えられ、運用会社の海外のファンド市場におけるビジネス拡大につながることが期待されている。
ARFPの主な運用制限
- 可能な投資に係る制限
- 投資可能な資産クラス
通貨、預金、金預託証書、譲渡可能証券、短期金融市場証券
- 一定の制限があるもの
デリバティブ、貸株、借入
- 原則禁止であるもの
貸出、保証、引受、空売り
- 投資可能な資産クラス
- ポートフォリオに係る制限
- 単一発行体への投資
原則5%以内
- 同一グループへの投資
原則20%以内
- 単一集団投資スキーム(CIS)への投資
原則10%以内
- 投資先への影響力に係る制限
原則投資先議決権の20%以内
- 単一発行体への投資