包括利益
- 英語
- comprehensive income
- 関連語
- IFRS
IFRSにおける貸借対照表を重視した新しい利益概念のことで、資本取引を除いた純資産の変動と定義され、これまで貸借対照表に直接算入してきた有価証券の評価損益・為替換算調整勘定・土地再評価なども企業活動で生じた損益であるとみなして、損益計算書に反映させた最終利益のことで、企業の最終的な儲けであるこれまでの純利益に資産価値の増減を加えることで総合的な利益指標となる。
包括利益には、決算操作の余地をなくし、企業実態の透明性が高まる等のメリットもあるが、本業の儲けが分かりにくく、業績が株価や為替などの市場動向によって大きく左右される等のデメリットもある。
また、日本では相互に株式を持ち合うことで取引関係の強化を図ると同時に安定株主を確保する株式の持ち合いが頻繁に行われているが、現行の日本基準では「その他有価証券」としてB/Sで時価評価されている持ち合い株式は、IFRS適用後の包括利益計算書では,その他包括利益の1項目として表示され、持ち合い株式の時価の変動は包括利益として計上される。包括利益に着目した経営が求められると、持ち合い株式で本来の業績以外の損益を生み出す経営を続けるのは困難となり、企業は持ち合い株式を解消が求められるようになる。