ユーロ
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1999年1月1日に決済用仮想通貨として導入され、2002年1月1日に初めて現金通貨として、導入国の従来の通貨に替わって法定通貨となった欧州単一通貨のことで、準備通貨としてはアメリカドルの次に重要な通貨の地位を有し、一時は第2の基軸通貨と呼ばれていたが、近年の通貨危機において、通貨連盟の矛盾が表面化しその存続を危ぶむ意見さえも出るようになってきている。
2011年1月1日にエストニアが導入したことで、ユーロを法定通貨としているのはEU加盟27か国中17か国となっており、これらの国々はユーロ圏と呼ばれ、また欧州連合の経済通貨統合に参加していない6か国でもユーロを法定通貨として導入している。ユーロを法定通貨としている国のほかに、為替相場制度でユーロと連動させている国も多くある。
EUはその前身である欧州経済共同体(EEC)が1958年に設立されて以来、米国や日本に対抗できるような経済圏を確立するため、ヒト、モノ、サービスの自由な移動が可能な域内市場統合の実現を目指し、1960年代初頭よりEEC加盟6力国 (ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク)の間には、経済統合と通貨統合はほぼ同時に推進していくべきであるという認識はすでにあったが、当時米ドルを中心とするブレトンウッズ体制が非常に安定していたこともあり、通貨統合に向けての動きは特に見られなかった。ところが、1969年に迎えた通貨危機を契機として、ヨーロッパの経済統合とEC加盟国の協力関係を維持するために、為替レートを安定させる必要性からEMUの実現に向けての初の計画書が1970年にウェルナー報告書として発表された。
ウェルナー報告書に則り1972年には共同通貨変動制度(スネーク制度)が導入され、1979年には欧州通貨制度(ERM)を創設し、欧州通貨制度は各国の通貨の相場が大きく変動することを防ぐものとなった。またあわせて欧州通貨単位(ECU)が導入され、のちのユーロの基礎となった。
1989年4月に欧州委員会委員長ジャック・ドロール(Jacques Delors)が発表した3段階による通貨統合の道を定めた「ECの経済・通貨同盟に関する報告書(ドロール報告書)」に基づき、1990年からの域内市場統合の完成、資本移動の完全自由化、EC全加盟国のEMSへの同一ルールによる参加等による現行の枠組みの下で各国の経済・通貨政策を調整し、各国経済の収斂を促進する第1段階、1992年のマーストリヒト条約調印、1994年からの欧州通貨機構(EMI)を経ての欧州中央銀行(ECB)及び欧州中央銀行制度(ESCB)制度を設立する第2段階、各国が金融政策上の独立性の放棄とESCBによる単一の金融政策の実行、為替レートの恒久的固定化によるEMUが創設に伴い単一通貨がユーロの導入された。