累積債務問題
- 英語
- accumulating debt problem
発展途上国が経済開発を進めていく上で不足する国内貯蓄を補うために、先進国政府、民間金融機関、国際機関等から借入れた資金が、生産能力の効率的増大に結び付かず、返済能力を超えて債務として累積し、債務返済困難に陥るとともに、経済社会の開発に十分資金をあてられなくなること。
ブラジル・メキシコ等が1970年代後半は、一次産品の高価格化と豊富な産油国の資金を背景に、先進国から大規模な借り入れを行い、工業化により高い経済成長率を示していたが、1980年代に、世界的な景気停滞と商品価格低下に加えてアメリカの高金利政策等の影響を受けて、増加した金利負担で対外債務の返済が困難となり、1982年のメキシコの債務繰り延べ要請に始まり、中南米諸国を中心に、累積債務問題が顕在化した。
中南米諸国の累積債務問題は、アメリカやIMFの介入により、民間債権者銀行団と債務国との間で債務返済の繰り延べ(リスケジューリング)等の救済措置が合意され、債務国への新規貸付等の救済策がとられたことで沈静化をみたが、国内金融市場の未発達を背景とするドル建て対外債務への偏重は、現在も変わらず多くの発展途上国が抱えるリスク要因であるし、貿易・金融両面における対外取引の自由化が進展してきた現在、発展途上国における公的債務管理は複雑さを増している。