投資用語集

代替ミニマム税

英語
alternative minimum tax
同意語
AMT , 最低代替税
カテゴリ
税務・税金 ,

高額所得者による租税優遇措置を活用した過度の節税対策を抑制し、税制の公平性を確保するために導入されている米国の税金計算方法のことで、原則として通常の所得税計算とは別に特別な計算方法により試算税額(tentative minimum tax)を計算し、この試算税額が通常の所得税計算により算定された通常の税額(regular tax)を超過した場合には、その超過部分が代替ミニマム税(AMT)として通常の税額に加算して課税される。

AMTの計算方法では、人的扶養者控除など通常の計算方法にある控除が減る代わりにAMT控除があり、また税率が低くなっているため、通常の計算方法の方が税額は高くなるが、通常の計算方法で控除を多く使い節税するとAMTの方が高くなるため、過度の節税対策を抑制できる。

AMTは高所得層の課税逃れへの批判が高まり、一般納税者の租税制度に対する不公平感が高まるようになったことを背景として、1969年に租税改革法(Tax Reform Act of 1969)により創設され、導入当時のAMT税率は10%であったが徐々に上昇し、クリントン政権の税制改定が行われた1993年に28%に達し現在に至っている。また1982年には法人税にもAMTが導入された。

個人AMTは制度の趣旨として、租税優遇措置を活用している一部の高所得層を対象としているため、本来は一部の者しか対象とならないが、所得税率ブラケットや控除額については、消費者物価指数に基づいてインフレ率に合わせて自動的に調整されるインデクセーションが導入されているのに対し、AMTはインフレと連動していないため、インフレ下においては、実質所得が増加していないにもかかわらず名目所得が増加することや、数々の個人所得減税策による税率差の縮小等の理由により、本来の意図を離れて今後急速に適用対象者数が拡大している。そのため、納税者に対して通常所得税とは別にAMT税額を計算することを求めるため、必然的に事務コストが増大すること、減税のメリットがAMTのために減殺されていること等AMTの弊害も指摘されていて、AMTを改定または撤廃しようとする動きもあるが、AMTに基づく歳入が巨大化し簡単には撤廃できない状態になっている。

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