欧州金融安定ファシリティー
- 英語
- European Financial Stability Facility
- 同意語
- 欧州金融安定化基金
国際収支危機に陥ったユーロ圏の諸国に対する財政支援を提供することでユーロ圏の金融安定を図ることを目的として2010年6月に3年期限で創設された基金のことで、ギリシャの財政悪化に端を発したソブリン危機(ギリシャ危機)への対応において、救済案の中核部分を成すものとて、EU加盟国27か国の合意によりルクセンブルクに設立された。
発足当初の支援可能額は2500億ユーロ余りであったが、ギリシャに続いて、アイルランド、ポルトガルが支援要請に追い込まれ、スペイン、イタリアへの危機の波及が現実味を帯びたことで、2011年10月に支援能力を4400億ユーロに拡大するとともに、従来の「構造調整プログラム」の実行を条件に支援融資を行う「包括支援」以外に、発行市場と流通市場における「国債の買い入れ」、「予防的プログラム」の設定、銀行の増資に使途を絞った「銀行支援」を行えるようにする等、危機の性質や国の規模に応じた支援が出来るよう支援手段を多様化した。
EFSFの支援額は、2010年11月合意のアイルランド向けが177億ユーロ、2011年5月合意のポルトガル向けが260億ユーロ、2012年3月合意のギリシャの第二次支援が最大1091億ユーロであり、ギリシャの第二次支援では、EFSFは、2012年2月から4月にかけて債務交換を通じた民間投資家の損失負担(PSI)等に関連して 355億ユーロの短期債券を発行しており、これを加えたギリシャ関連の支援額は最大1446億ユーロとなる。
EFSFは時限機関であるため、後継機関として時限を定めない恒久的な危機対応の機関として2012年10月に欧州安定メカニズム(ESM)が設立され、EFSFの業務が引き継がれた。
ESMとESFSの違い
ESM | ESFS | |
---|---|---|
法制 | 国際公法に基づく政府間機関 | ルクセンブルク法に基づく民間企業 |
継続期間 | 恒久的機関 | 時限機関 (2010年6月-2013年6月) |
資本/保証構成 | 資本金:7,000億ユーロ 800億ユーロ:予め払い込まれる 6,200億ユーロ:請求次第払込み | 保証:上限7,800億ユーロ ユーロ圏加盟国が分担 |
資本/保証の支払い | もし加盟国が金融支援を要請したり、融資を受けたりしても、資本金の支払いを行う | もし加盟国が金融支援を要請したら、その加盟国は保証負担から外れる |
最高貸付金額(融資能力) | 5,000億ユーロ | 4,400億ユーロ |
貸付金の請求権 | 優先債権者(IMFに次ぐ) | 平等 |