投資用語集

特定金融指標

英語
specific financial indicators
関連語
金融商品取引法 , LIBORスキャンダル , IOSCO , TIBOR
カテゴリ
経済指標 ,

「金融指標であって、その信頼性が低下することにより、わが国の資本市場に重大な影響を及ぼすおそれがあるもの(金融商品取引法2条40項)」と定義される金融指標のことで、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)をめぐる不正操作問題(LIBORスキャンダル)を踏まえて証券監督者国際機構(IOSCO)の金融指標に関する原則をまとめる等国際的に規制を整備する動きに足並みを揃え、2014年の金融商品取引法の改正で定義された。

LIBORは複数の銀行が提示する市場実勢レートを集計し、算出する提示型の指標であるために、市場の実績値などに基づいて機械的に決定される指標に比べて、不正操作の余地が広く、不正を働くインセンティブも相対的に高いおそれがあるため、まずは提示型の指標を中心に規制する方針となり、東京銀行間取引金利(TIBOR)が規制の対象となった。

特定金融指標の算出者の指定制度(特定金融指標算出者)を導入し、特定金融指標算出者に対する規制、監督の枠組を整備するとともに、金融商品取引業者等(又はその役職員)が、特定金融指標算出者に対し、特定金融指標の算出に関し、データの不正呈示を行うことを禁止している。

金融商品取引法では、TIBORを算出する全国銀行協会のような算出者を「特定金融指標算出者」に指定し、これまで世界的にも規制対象となっていなかった金融指標の算出行為に対して、「金融指標に関するIOSCO原則」に沿った業務規程を作成させて認可事項とすることや、算出プロセスの透明性を確保するため一定期間ごとに説明書類を作成・公衆縦覧に供させること、当局への事業報告書の提出、他者に業務委託する場合に認可を受けること等を義務付ける他、当局に報告徴取権や立入検査権を与え、必要に応じて業務改善命令や業務停止命令、役員解任命令、指定の取消しができるようにする等の規制・監督の枠組みを適用している。

また、レート等の提示者については、提示者が金融商品取引業者(又はその役職員)の場合、データ提示での不正行為を禁止した上で、罰則を設けた上で、金融商品取引業者以外からの提示も想定し、特定金融指標算出者に提示者との間でIOSCO原則に基づく行動規範の形で契約するよう求め、その行動規範を当局が認可する仕組みを導入した。

公的機関が政策目的で算出する金融指標はIOSCO原則でも適用対象外のため、金融商品取引法でも規制の対象なっていない。また、外国で算出される指標についても規制対象に指定できるようにする一方、算出者が母国で適切な監督を受けていると評価できれば日本での規制対象から外すような枠組みとなっている。

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