証券化
- 英語
- securitization
- 同意語
- セキュリタイゼーション , 資産流動化
企業が保有する資産を証券の形にしてバランスシートから切り離し、企業(オリジネーター)が保有する貸出債権、売掛債権、リース債権、住宅ローン、自動車ローン等のキャッシュフローを生む資産を、証券発行を目的として設立した特定目的会社(TMK)に譲渡し、それらの資産が生み出すキャッシュフローを裏づけにした有価証券を発行し、投資家に販売する直接金融の手法の一つで、企業の信用力の変化に左右されずに資金調達を行うことができる。
企業側は証券化により、早期の負債圧縮や資産が抱える不良債権化等のリスクの投資家への移転、間接金融より低コストでの資金調達が可能となり、投資家は、高利回りの金融商品に小口の投資することことで、双方にメリットがあり、証券化で流動性が高まることにより、流動性の低さに起因していた価値の喪失が回復され、取引のコストも低下し、資産取引が活性化する。
バブル経済の崩壊後、市場の成熟化が認識される中、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROI)といった効率性の指標を重視する経営にシフトし、規模の追求から効率性を追求へと企業経営の視点が変化する中、より小さなストック(純営業資産)でより大きなリターン(営業利益)を創出することが重視されるようになっため、資産のスリム化を図る手段としても注目され、利用が広まっている。
しかし、証券化の利用が広まる一方で、リスク転嫁の容易さに伴って生じたモラルハザード、過度に複雑化・高レバレッジ化した証券化商品の横行、格付機関への過度の依存と格付けの信頼性の低下、スキームの複雑性から生じる理解の困難さなどの複合的理由から、証券化への信頼が揺るがされ、2007年のサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融不全の一因となった。