プリンストン債事件
- 関連語
- ポンジー・スキーム
クレスベール証券が国内法人企業を相手に販売したプリンストン債が償還不能に陥り、販売手法や運用方法をめぐって問題化した未曾有の金融詐欺事件のこと。
プリンストン債は、米国の有名相場師のマーチン・アームストロングが率いるプリンストン・グローバル・マネジメントがオフショアで設立されたペーパーカンパニーであるプリンストン社により発行された私募形式の債券で、プリンストン・グループの親会社が元本保証し年利2〜4%程度、元本保証はないが年利30〜40%程度の2種類あり、クレスベール証券の親会社であるプリンストン・エコノミックス・インターナショナル(PEI)が1991年ごろから、同証券東京支店等を通じ日本企業76社に対し約1200億円が販売されたが、金融監督庁の同証券東京支店の検査で、顧客資金を管理している米リパブリック・ニューヨーク証券が資金を分別管理していなく50億円相当の資金しかなく、他の目的に流用され、債券の元利支払いは別の顧客から集めた資金を流用する自転車操業で行われていたポンジー・スキームであったことが判明し、プリンストン債の販売を半年間停止する命令を出しために、問題がいっきに表面化した。
その後、法廷闘争に持ち込まれ、最終的にはリパブリック・ニューヨーク証券を199年に買収した英大手銀行HSBCの米国法人が、6億600万ドルの賠償金を支払うことで和解し、プリンストン債の払戻金も含め、総額約6億8000万ドル(約870億円)が日本企業に戻ったが、被害を受けた20社は含み損を抱えた株式とプリンストン債を交換することで保有有価証券の損失先送りに利用していたこと、ヤクルト元副社長熊谷直樹の担当者が計6億2000万円のリベートを受け取ったとの事実が判明し、所得税法・商法違反の容疑で逮捕される等事件は波及し、クレスベール証券等の詐欺まがいの手口を非難する声もあったが、日本企業のリスク管理の甘さが露呈する事件ともなった。