ランドラッシュ
- 英語
- Land Rush,Land Run
- 同意語
- ランドグラビング
2007?2008年の世界食料価格危機が発端となって、食料を輸入に頼る国がアフリカや南米、旧ソ連圏の未開発の農地を大掛かりに買収している現象のこと。
世界食料価格危機での穀物価格高騰時に中国、インド、ロシア、ブラジル、アルゼンチン等の穀物の主力輸出国が自国の食料供給が不安定になるのを防ぐために輸出規制を行ったため、「穀物メジャー」と呼ばれる巨大な多国籍商社が生産国から大量に買い集めて国際市場に供給する従来のシステムが崩壊し、穀物を輸入に依存してきた国々は大きなダメージを受けたため、食糧輸入国はこれまでの自由貿易の推進こそが食料の安定供給を保障するとの考え方からの転換を迫られ、食料危機が再び起きた時の備えとして自ら食料を確保することを目的に海外農地の獲得を活発に行うようになった。また、金融危機の深刻化により企業や投資家が海外農地を重要な投資先とみるようになったことも後押ししている。
ランドラッシュを積極的に行っている国は、資金が豊富だが土地や水が不足している食料輸入国や多くの人口を抱え食料安全保障の面で懸念を抱える国々で、オランダ、サウジアラビア、カタール、リビア、中国、韓国、インド等があり、進出先は生産コストがはるかに安く、土地と水が豊富な途上国であり、マダガスカル、スーダン、エチオピア、パキスタン、フィリピン、カンボジア、トルコ、ウクライナ等がある。
ランドラッシュにより進出先に国にはインフラの整備拡大、最先端の農業技術の導入と移転、雇用増大といったメリットもあるが、環境を考慮せず肥料や農薬を使うことによる土地の荒廃、投資の詳細も内密にされることによる情報の不透明化、地方コミュニティへの土地の権利の承認や保護、補償などが欠如していることによる権利侵害等のデメリットもあり、「新植民地主義」として非難を浴びる事例も少なくない。