ジェイコム株大量誤発注事件
- 同意語
- ジェイコムショック
- 関連語
- 日本証券クリアリング機構 , 解け合い
2005年12月8日に、東証マザーズ市場に新規上場した総合人材サービス会社のジェイコムの株式において、みずほ証券が誤注文し、株式市場を混乱させた事件のこと。
みずほ証券の担当者が「61万円1株売り」とすべき注文を「1円61万株売り」と誤ってコンピュータに入力し、注文内容が異常とする警告を無視して注文を執行したため、大量の売り注文によりジェイコムの株価は急落し、ストップ安となった。この大量の売り注文が出た瞬間から話題騒然となり、様々な憶測が飛びかい、誤発注と見て大量の買い注文を入れた投資家がいた一方で、狼狽売りをした投資家もいて混乱が生じた。また誤発注の当事者の主体者ついても様々な憶測情報が流れ、主幹事である日興コーディアル証券の株価が急落したり、誤発注した証券会社が自己売買部門で利益確定の売りで損失の穴埋めを図るのではとの憶測から、全面安の展開となり、日経平均は1.95%下げることとなった。またジェイコム株の取引は翌12月9日以降一時停止された。(12月14日に再開)
みずほ証券は全発注量を反対売買により買い戻すことにしたが、利益確定売りや押し目買い等により株価は乱高下を伴い高騰し、みずほ証券の反対売買にもかかわらず、9万6236株の買い注文については相殺しきれず、そのまま市場での売買が成立してしまい、通常での取引決済が不可能となったことから、日本証券クリアリング機構は現金による強制決済による解け合い処理(1950年の旭硝子株以来55年ぶり)と裁定し、すでに買われた株は、事件発生の直前に寄りつきつつあった価格を参考に一株91.2万円での買戻しとした。この誤発注と強制決済によってみずほ証券が被った損失は407億円とされる。
大量誤発注事件の直接の原因はみずほ証券の担当者による人為的ミスであるが、誤発注を取り消せなかったのは東証の対応ミス・システムの不具合であることが判明したため、みずほ証券はシステムの欠陥を理由に膨らんだ損失404億円の損害賠償請求を東京地方裁判所に提訴した。2009年12月に東京地裁は、売買停止措置を取らなかったことについての東証の注意義務違反による東証の過失と初歩的入力ミスや発注管理体制不備等のみずほ側の過失も指摘し、東証とみずほの過失割合を7対3と認定し東証に約107億円の支払いを命じる判決を言い渡されされたが両者が控訴し、2013年7月の東京高等裁判所の一審支持の判決に対しても両者が上告し、係争は継続している。