インスティネット
- 英語
- Instinet Incorporated
- 関連語
- PTS , ECN , ナスダック , NYSEアーカ取引所 , チャイエックス
1969年にInstitutional Networks Corporationとして設立され、世界で初めて機関投資家向け電子ブロック・クロシングサービスを提供した大手エージェンシーブローカー、または取引所外私設取引システム(PTS)と呼ばれる電子取引システムの先駆け的存在として名高い同社の運営するECNのこと。
インスティネットは、機関投資家間の直接取引、ナスダック市場におけるマーケット・メーカーのポジション調整手段として広く利用され、1990年代前半には、ナスダック市場取引高の20%近くはインスティネット経由の取引と言われていて、米国を中心に世界中に1,500社の顧客基盤を持ち、機関投資家のグローバル運用ニーズに対応するため、海外進出も積極的に進め、世界の50超の取引所において直接かつ匿名で相互に取引を行うことが可能となっている(日本では1994年にインスティネット証券東京支店が免許取得)。
インスティネット傘下のECNは、同業のストライク(Strike)、ブリュット(Brut)、アイランド(Island)等を次々と合併して統合し、Inet ATSと改名し、アーキペラゴ(現NYSEアーカ取引所)と並ぶ一大勢力となったが、ナスダックに現金総額18億8000万ドルで買収された。ナスダックの買収目的は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)によるアーキペラゴ買収に対抗するために、Inet ATSの電子取引システム (ブランド名「INET」) の獲得という純粋に技術目的なものであり、インスティネットの電子トレーディング部門を傘下に収め、INETを自社のシステムに組み込む一方で、証券部門(Instinet LLC)をプライベート・エクイティのシルバー・レイク・パートナーズ(Silver Lake Partners)に2億750万ドルで、インスティネット傘下のリサーチ会社、リンチ・ジョーンズ・アンド・ライアン(Lynch,Jones&Ryan)は、バンク・オブ・ニューヨーク(BONY)に1億7400万ドルで売却している。
インスティネットの証券部門は株式非公開化され、機関投資家向け電子ブロック・クロシングサービスに注力するとともに、チャイエックスを立ち上げる等新規事業にも取り組んでいる。また2007年に野村ホールディングにより12億ドルで買収され、野村グループ傘下の機関投資家向けの委託電子取引をグローバルで取り扱う委託取引専門の証券会社となるとともに、米国におけるCBXSM、ヨーロッパにおけるチャイエックス、アジアにおけるJapan Crossing SM等を含む多岐にわたるATSプラットフォームを運用している。