投資用語集

固定価格買取制度

英語
Feed-in Tariff,FiT,Feed-in Law,FiL
同意語
固定価格制度 , フィードインタリフ制度 , Minimum Price Standard , 電力買い取り補償制
関連語
再生可能エネルギー
カテゴリ
経済 ,

地球温暖化対策やエネルギー源の確保、環境汚染への対処などの一環として、再生可能エネルギーの普及促進を図るために、再生可能エネルギー源の事業者に対して国が定めた価格(タリフ)で一定期間(20年等)にわたって買い取ることが法律で保証される制度のこと。

タリフは普及量等の推移に従って定期的に見直され、計画的に逓減し、全体の助成費用は抑えられる一方で、既存の発電事業者のタリフは変更されないため、個々の事業者の投資リスクは低く保たれ、風力発電や太陽光発電等の初期投資が投資額の大部分を占める方式において、生産コストを下げる効果をもたらし、新規参入が促進されるとともに、安定した投資や開発を促し、産業の競争力を高めることが期待できるため、世界50カ国以上で用いられ、再生可能エネルギーの助成政策としては最も一般的な手法となっている。

しかし最も成功しているといわれていたドイツでは全量固定価格買い取り制度によって電力料金が高騰して経済的な負担が大きくなったことに加え、自国の太陽光発電メーカーのQセルズが中国メーカーとの価格競争に敗れて倒産し産業育成も失敗に終わったため、タリフが引き下げられた他、スペインでは高額なタリフを設定したため、メガソーラー建設計画ラッシュになり、タリフを引き下げたために建設計画が次々に消滅し、特需を当て込んで設備投資した太陽電池メーカーが経営危機に陥ったバブル(「スペインショック」)を発生させ、巨額の債務を抑制するため、再生可能エネルギーの買取を停止する等、適切に運用するのは非常に困難である。

日本では、再生可能エネルギーの普及促進策として電力会社による自主的な買い取り、RPS法や各自治体による助成などが用いられてきたが、2012年7月に施行された再生可能エネルギー特別措置法により再生可能エネルギー全量買い取りを電気事業者に義務づけた。また太陽光発電のタリフは、2012年度は1kWh42円(出力10kW以上)となり、調達価格等算定委員会の意見聴取において専門家によって適正と指摘された30円台後半を大幅に上回ることになったため(ドイツの2?3倍)、新規参入が相次ぎ「太陽光発電(PV)バブル」の様相を呈している。しかしタリフは書類申請で認可を受けた時点で決まるのため、設備認定だけを先行させタリフの権利を獲得し、数年後にパネルの価格が安くなってから、運開するといった制度の悪用が指摘されたり、電気事業者が再生可能エネルギー電気の供給の対価に係る負担を消費者に求めることが容認されているため、電気料金に転嫁され、2014年は平均的な家庭の負担額が年間約3万円となるなど負担額増加が止まらないため、タリフの改定頻度を増やしたり固定価格での買取量に上限を設けたりして、賦課金の上昇を早急に抑える制度見直しを求める声もある。

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