エネルギーヴェンデ
- 独語
- Energie Wende
- 同意語
- エネルギーシフト , エネルギー大転換
2010年秋に第二次メルケル政権の下で決定された2022年に脱原発、2050年までに脱化石し、既存の化石・原子力から再生可能エネルギーに転換するというドイツのエネルギーシフト構想のことで、技術的には化石・原子力燃料への依存から脱却し、社会のエネルギー供給を再生可能エネルギーに転換する単なる電源のシフトにとどまらず、経済的にも分散型の投資や地域内における資金循環によって、市民参加型で行われるといった広義の意味合いもある。
エネルギー消費量が大きい工業先進国において、大々的な省エネでエネルギー消費量を半減し、残りのエネルギー需要を再生可能エネルギーで供給するという野心的な取り組みであるが、南北連係線(北部での風力発電による電力を、厳罰廃止で電力不足が懸念される南部へ送電するための全長5,450kmに及ぶ送電網)の整備や、各種の系統安定化対策、需給バランスを保つバックアップ対策等課題が山積している。
また、再エネ賦課金の上昇に伴う電力価格高騰は、家庭需要家ではエネルギー貧困の問題を浮上させ、産業需要家では、産業空洞化の問題も懸念されている。さらに、賦課金が地理的制約等で再生可能エネルギーを促進ができない南部の州から、積極的に促進を行える北部の州に流れることによる地域間の不公平感も出てきている。