国際収支の天井
- 英語
- balance of payments constraint
固定相場制において、国内経済が拡大し、国内の供給が需要に追い付がず輸入が拡大すると、国内通貨の減価圧力が高まるため、政府は国内通貨の価値を一定に保つために外貨準備を使い自国通貨を買う介入を行う必要に迫られ、その結果として貿易赤字拡大と外貨準備枯渇の恐れがある。そのため、国際収支の赤字を改善するために経済成長しているにも関わらず需要抑制策により経済引き締めを行わざるえなくなり、国際収支が経済成長を抑制してしまうことをいう。
日本でも戦後の貿易再開から1950年代にかけて発生(なべ底不況)したが、1960年代以降、輸出が拡大し貿易黒字が定着すると、国際収支の天井問題は解消された。
現在では自由貿易の進展により、新興工業国における輸入拡大と経常収支赤字の拡大という問題は、外国からの投資を大規模に受け入れることによって国際収支をバランスさせることができるようになったが、短期資本の導入に頼り過ぎると、海外資本が一斉に引き上げたときに、1997年のアジア通貨危機のような通貨の暴落等の問題が起こる。