優越的地位の濫用
- 英語
- abuse of dominant bargaining position
- 関連語
- 独占禁止法 , 下請法
取引上、優越的地位にある者が、取引先に対して正常な商習慣に照らしてもその限度を超えて不当に不利益を与える行為のことで、本来取引は当事者の自由で主体的判断によって行われるものであるところ、取引上の地位が優越していることを利用して、相手方を抑圧し、対等な取引ではありえないような一方的に不利益な取引を強要することが、自由な競争基盤を阻害するものとされるから、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)第19条において、不公正な取引方法として禁止されていて、優越的地位の濫用は下請取引で問題が発生することが多いため、独占禁止法の補完法である下請代金支払遅延等防止法(下請法)で詳細が規定されている。
公正取引委員会告示では、優越的地位の濫用を以下のように定めている。
「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次の各号のいずれかに掲げる行為をすること。
- 継続して取引する相手方に対し、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。
- 継続して取引する相手方に対し、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
- 相手方に不利益となるように取引条件を設定し、又は変更すること。
- 前三号に該当する行為のほか、取引の条件又は実施について相手方に不利益を与えること。
- 取引の相手方である会社に対し、当該会社の役員の選任についてあらかじめ自己の指示に従わせ、又は自己の承認を受けさせること。
優越的地位の濫用の例としては、金融機関の優越的地位に基づく融資に関する不利益な取引条件の設定・変更、自己の提供する金融商品・サービスの購入要請、関連会社などの取引の強要、競争者との取引の制限、融資先企業の事業活動への関与等や、小売業者による押し付け販売、返品、従業員等の派遣の要請、協賛金等の負担の要請、および多頻度小口配送等の要請等がある。