合理的期待形成仮説
- 英語
- rational expectations hypothesis
- 同意語
- 合理的期待仮説
市場経済を構成する個別的な経済主体(個人)が、現時点で入手できるすべての情報を駆使して、最も合理的・効率的に将来を予測するという仮説のことで、将来の市場条件(特に均衡市場価格)について、人々がその客観的確率分布を正確に知っていて、その数学的平均値に等しくなるように期待を形成し、最適化の行動を行うという前提を仮定する。
1970年代に、ロバート・ルーカス(R.Lucas:1995年ノーベル経済学賞受賞)やサージェント(T.J.Sargent)をはじめとした経済学者らによって提唱され、人々が利用可能な情報を効率的・合理的に利用すると、その予想は客観的確率に等しくなるという考えから、政府が裁量的経済政策を行ったとしても、企業も個人もその結果を正しく予想し行動し、「予期されない」物価上昇率はゼロとなるため、その政策は無に帰すとし、ケインジアンの裁量的な金融・財政政策は短期的にも長期的にも無意味と主張する。(マネタリストは、短期的にはケインジアンの裁量的政策は効果gさあると主張する)
こうした考え方は古典派経済学と基本的に共通することから、合理的期待形成仮説を支持する「新しい古典派(new classicals)」とも呼ばれているが、人々が常に、過不足なく正確な情報を持ち、これを適切に分析し経済活動に合理的に反映させているとは限らないとする反論もある。