最適通貨圏
- 英語
- Optimum currency area
- 同意語
- OCA
ロバート・マンデル(Robert Alexander Mundell、1999年度ノーベル経済学賞受賞)によって提唱された「同一通貨を使用する地域がどのような条件を満たせば最適な規模になるか」という概念のことで、ある地域が通貨同盟を築くための条件が満たされているかを議論するために用いられる。ただし最適通貨圏の理論では、最適通貨圏は一つの国よりも小さくなることもある。
単一通貨導入のメリットとして、為替リスクの解消、外国為替取引に伴うマージンの消滅、共通価格表示による価格の透明性、通貨統合とともに市場統合が進展し、規模の経済や競争の激化による経済の効率化が進展すること、国際通貨としての地位が向上することなどがあるが、単一通貨が導入された地域では、各国間の不均衡を為替相場によって調整できなくなること、さらに単一の金融政策しか講じることができず、もし各国間に決定的な経済格差(景気のずれによる失業やインフレ格差)が生じた場合は、その経済圏が崩壊する危険性をはらむことになる。
最適通貨圏の主な条件
- 域内諸国間の産業構造の類似性、あるいは構成国1国当たりでの産業構造の多様性
単一的な金融政策で対処できない非対称的ショックが生じないような同質的、類似的経済であること。
- 経済の開放度と域内貿易依存度の高さ
非対称的ショックが発生したとしても、市場メカニズムを通じて自動的に均衡を回復する力が作用すること。
- 生産要素価格の伸縮性・移動性の高さ
市場メカニズムによる均衡回復要因として、労働市場が十分弾力的であり、生産要素の労働自賃金が伸縮性や労働力移動が十分であること。
- 域内諸国間の公的所得移転の高さ(財政の統合)
市場メカニズムによる均衡回復機能を補完する条件として、その経済圏全体としてのレベルで、財政による資金移動がなされ、各国経済の均一化を図ることが可能であること。