リスボン条約
- 英語
- Lisbon Treaty
2009年12月1日に発効した既存の欧州連合の基本条約を修正する条約のこと。
2005年にフランスとオランダにおける国民投票で欧州憲法条約の批准が否決され欧州憲法条約発効が断念されたこと受けて、欧州憲法条約に大幅な変更が加えられたものの欧州憲法条約とは異なり、既存の基本条約と置き換えるのではなく、欧州憲法条約に盛り込まれていた機構改革や、市民の欧州連合への関与を強化することが規定される一方で欧州憲法条約にあった欧州連合の旗のような超国家機関的な性格は取り除かれ、理念的な欧州統合の将来像を掲げることを回避するともに、特定の国には適用除外条項が規定され実質的で、簡明な内容となっている。
EU代表(大統領)を勤める欧州理事会の常任議長の創設(任期2年半、1回再選可)、欧州委員会の副委員長を兼任するEU外交・安全保障上級代表(外相理事会常任議長)の新設、EU議長国は外相理事会を除く閣僚理事会の議長兼任、理事会での決定方式は、各国に加重配分された持ち票による現行の多数決方式を廃止し、加盟国数の55%以上とEU総人口の65%以上の賛成を得て成立する二重多数決方式への変更、外交・安全保障・税制・社会保障政策などの分野は全会一致の決定方式を維持(拒否権を認める。司法内務協力分野の決定には多数決制を導入)、少数派を尊重して一定数以上の国が反対する場合は議論の継続が可能、欧州委員会委員数を現行の27人から18人に削減、欧州議会の議席数を現行の785議席から削減、欧州委員会提出の法案に3分の1以上の加盟国議会が反対した場合、法案の見直しが可能、人権保障規定などを定めた欧州基本権憲章の順守義務などが規定されている。