ISD条項
- 英語
- Investor State Dispute Settlement
- 同意語
- 投資家対国家間の紛争解決条項 , ISDS条項
自由貿易協定(FTA)等の国際投資協定を締結した国において、外国政府の協定違反に伴う企業と政府との紛争における中立的な解決方法(国際投資仲裁)を定めた条項のことで、恣意的な政治介入を受ける可能性の高い国や、司法制度が未確立な国の裁判所ではなく、投資紛争解決国際センター(ICSID)等の公正で国際的な紛争仲裁手続きに則って仲裁・調停を付託できることを定めている。
ISD条項は、恣意的な政治介入や司法制度が未確立な国の裁判を避け、公正な手続で第三国において仲裁を進めることができるため、投資活動に対して実効的な保護手段を確保でき、紛争が投資家と投資受入国の間で直接的に処理されるので、外交上の問題に発展しにくいと言ったメリットがあり、協定違反の多い発展途上国や共産主義国と協定を結ぶ場合は、ISD条項は必須である。
また、ISD条項は国家主権侵害であるとする主張があるが、ISD条項あくまで協定違反への対抗手段であり、協定外のことには適用できないため、原理的に主権侵害は不可能である。
ISD条項は、国際投資協定が結ばれ始めた1960年代に既に協定に盛り込まれ、1990年代後半から仲裁の利用が著しく増加し、日本では1978年の日本エジプト投資協定以降に締結した25本の投資協定の内で日比EPAを除く24本の投資協定で、海外に投資している日本企業の利益を守ることを目的にISD条項が入っている。