銀行再建・破綻処理指令
- 英語
- Bank Recovery and Resolution Directive
- 同意語
- BRRD
欧州債務危機が域内の銀行危機に連鎖する危険性を断つために2013年採用した欧州の銀行同盟の柱となる銀行破綻処理の一元化のための指令のことで、銀行破綻の処理は、公的資金を利用せずに民間の負担でなされることを原則とし、破綻処理制度の欧州連合(EU)内での統一を図り、地域全体の金融システムの安定性確保を目指している。
銀行再建・破綻処理指令(BRRD)では、危機の予防的措置として、銀行に対し危機に陥った場合の再生計画を毎年策定することとともに、監督当局にその評価を行うことを義務付けていて、危機を未然に防ぐ目的で、銀行の流動性や自己資本比率などが悪化した場合に監督当局が早期に介入できる仕組みなども備えている。危機に際しての介入方法としては現経営陣の強制的退任や、改革のための臨時株主総会の招集権限があり、破綻処理コストを下げるために事業売却や経営統合を求める権限や、株主や債権者の負担について共通の規則を定めている。また、単一破綻処理メカニズム(SRM)規則が補足的に制定され、域内単一破綻処理基金(Single Bank Resolution Fund)の設立方法や、各国の処理基金の使用方法、破綻処理の決定機関など実務的な規則を定めている。
銀行再建・破綻処理指令は銀行破綻処理のコストの最小化が狙いであり、この枠組みで対処できない問題が起きた場合の最終的な資金救済の役割は欧州安定メカニズム(ESM)が担うことになっている。